はんぺん日記

〜ジャニオタが綴る雑記〜

コンサート待ち時間で読める短編小説

コンサートの必需品は何だろうか。
ペンライトやチケット、デジタルチケットが増えてからはモバイルバッテリーや充電器もかなり重要になってきていると思う。
あとはコンサート前のメイク直しに欠かせないリップなどのコスメ、カフェや会場の前で掲げて撮影するための写真を持っている人も多い。



私の場合、上記のラインナップに「文庫本」も追加される。なぜかというと地元でジャニーズのコンサートが開催されることはほとんどの確率でなく、基本的には「遠征組」と呼ばれる人たちに当たるからだ。

ジャニオタになったのは中学二年生の時。関ジャニ∞が大好きで、年に一回京セラドームに通っていた。

高校生になってからはアルバイトを始めたこともあり、関ジャニ∞のみならず、関西ジャニーズJr.の公演にも足を運ぶ余裕がでてきた。

ジャニーズJr.はデビューしているグループよりも全国ツアーをしたり、いくつかの土地を回る機会が少ない。しかし、関西ジャニーズJrの拠点は「関西」である。
自分の地元から新幹線を使えば40分、金欠でも「青春18きっぷ」を手にし、鈍行で2時間揺られると大阪に着く。

「鈍行で2時間」と他の友人に言うと「絶対しんどいでしょ…」と言われるし、今やれと言われると断然新幹線を使うけど、関ジュ担だった友人と電車に乗って色々話していると結構あっと言う間に神戸辺りに到達するし、自分たちの住んでいる街からどんどん景色が変わって、じんわりじんわり「関西の都会」の街並みが見えてくるのがとても好きだった。

関ジャニ∞や関西ジャニーズJr.を応援していた高校生の時から状況は変わり、本格的な遠征組になったのである。

変わったところ

「友達とは基本現地集合」

今自分が住んでいるところにはジャニオタの友達がいない。
小学校からの幼馴染、高校の友達、大学で仲良くなった友達など、色んな年代で出会った大切な友人たちとは、終日に遊んだり仕事終わりにご飯を食べたりするが、一緒にコンサートには行かない。

一緒にコンサートに行く友人たちは全員県外に住んでいるのである。こうなると、移動中に話し相手は無くなる。

「東のJr.担になった(Love-tune安井謙太郎さま)」

高校生の時、まだJr.だった重岡大毅さんの団扇を持ち、松竹座の前で「関東Jr.担にはならない気がするわー」とのたまう私に、嬉々としてLove-tuneバンダナをカバンにつけ、「安井」団扇を黙々と作っている数年後の自分の姿を見せたい。驚愕の事実、未知との遭遇、未来のことは誰もわからないのである。

東のJr.担になったと言うことは、松竹座や大阪城ホールよりも六本木EXシアター、帝国劇場、シアタークリエと行った東京の会場に足を運ぶことが多くなったということである。今までのように新幹線で1時間かからない、鈍行でもなんとか行ける距離ではなくなってしまったのである。

こうして移動時間が「暇」+「長く」なった私は、コンサートの必需品に「文庫本」を追加することになった。


☆遠征組におすすめの文庫本

私はジャニオタになってから大阪や東京にちょくちょく行っているが、進学した大学も就職先も全て、海が面している西日本の温暖な地域だったので、旅行や仕事の出張以外で長期間過ごしたことがない。

大学の時に何連泊かしたり、新入社員研修で丸1ヶ月東京の研修所に泊まっていたのが1番長い記録である。もう、とても楽しかった。

新入社員研修では「もう疲れた」「土日が休みでもすること無いし」と言う同期といたけど、私はここぞとばかりに買い物したり、ジャニオタの同期と遊んでいた。

ずっと住んでいたら「特別」な街ではなくなるのだろうし、「疲れた」と思う人も中にはいるのだと思う。

それでも私は、東京に行く時も大阪に行く時もワクワクしている。もちろんコンサートが待っている楽しみもあるのだけれど、街自体へのときめきも消えていない。

移動時間は長いし準備にも時間がかかるけど、そんな遠征おたくを優しく迎えてくれるような物語…特に、移動中の息抜きにさくっと読める短編集が鞄の中に入っていると移動中に見える景色もいつもよりちょっとだけ鮮やかになるので、いくつか紹介していく。

『バスに乗って』


表紙の絵をみて「昭和初期のお話かしら…?」と思ったけど、違いました現代でした。
会社や毎日の生活に疲れたOL、認知症の祖母と一日を過ごす大学生の孫、クリスマス前のカップル、出張帰りのサラリーマンなどが主人公のお話が 話。どのお話の背景にもバスが登場します。

地方住みの私が得る「東京」の情報源はテレビが圧倒的に占めていて、そこで描かれる姿は、最新・おすすめ・賑やか。

だけど、私は東京の日常が知りたかった。

最新の店じゃなくても昔からの建物がある風景
住宅地に馴染む喫茶店
特別でない、いつもの休日

これは大きな事件は起こらないけど、毎日何かしら起きている東京の「どこか」の日常をもらさずに丁寧に書いてくれた短編集。




『東京23話』


東京23区の歴史を一番知っているのは、そう、街!この本の中では街が喋るのです。

ただ歴史を並べた文章ではなく、その街の温度や空気までこちら伝わる暖かい文章になってそれぞれの街の良さを私たちに届けてくれる。

コンサートで上京しても、微妙な空き時間で行けるところ・できることって限られてるし、空き時間の使い方に結構困ったりするけど、この本を読んだらガイドブックやまとめサイトには載ってないような魅力的な場所を知ることができるのでおすすめ。