はんぺん日記

〜ジャニオタが綴る雑記〜

ニート・ニート・ニートを読んだ

ニートニートニート/三羽省吾/角川文庫】


目標も安定も世間体の良さもないけど、後悔や、何かへの呪縛もない。身体と感情をむき出しにした、人間を謳歌する登場人物たち。

ニート3人と訳ありの家出娘の北海道旅はケンカばかりで行き当たりばったりで目標もないけどそこには必ず「音」がある。無音の世界ではない。

小説を読み始めてかなり序盤の辺りで、この旅の発案者「レンチ」がイラストの一言をぶっ放し、気付くと私たちも北海道旅の一員に入っているような気持ちになって、目標もない旅の中で新たな人生の目標を発見できる。

この本は2018年に映画化される。主演はLove-tune安井謙太郎。安井くん演じる「レンチ」は3ニートの内の一人で、北海道旅をひっぱり、読者の私たちもを巻き込んで旅に連れてってくれるリーダー格だ。

そして、同じくLove-tuneからは森田美勇人さんも出演する。美勇人さん演じる「キノブー」はこの作品に出てくる登場人物の中で一番世間体を気にして、はちゃめちゃな旅に一番ついていけなくて、思い切ったことをするのに抵抗がある。読者に近い存在かもしれない。

他にも、3ニートの妄想一人タカシや、途中に出会う家出娘の月子、3ニートを追いかけるチンピラたちや北海道で出会う人など、たくさんの役者が彩る物語は、北海道の美しい景色や喧嘩や笑い声や、3ニートの叫び、月子の心の叫びを含んで賑やかに進んでいく。

旅の軌跡を綴る言葉は丁寧で、どんなに激しい喧嘩のシーンもレンチのチャラい言動も、不思議と穏やかであったかい笑いが含まれているから読んでいて心地が良い。読んだ後は爽やかな爽快感に包まれて、「正しさ」で窮屈に縛られていた心が少し元気になる。

2018年にはどんな映像でこの物語の新たな姿が見れるんだろう。 文字と頭の中だけで想像していた世界が大きなスクリーンに広がるのが今から楽しみだ。